小さな恋【完結】
「繭ちゃん置いてきちゃって大丈夫なの?心配してるんじゃない?」
アスファルトの上にあぐらをかいてぼんやりと空を見上げる大知。
太陽の眩しい光を顔に受けて目を細めている大知の顔にトクンッと胸が高鳴る。
2年前もこうやって、同じ空を見上げたね。
あの時はもっと近くで大知の横顔を見つめられたのに。
今、あたしと大知の間にある30センチの距離がもどかしいよ。
大知への気持ちに気付いてからのあたしは、後ろを振り返ってばかりいる。
後悔の波は毎日のように訪れて、引くことはない。
「ね、大知。あたしの話、聞いてる?」
空を見上げて身動き一つしない大知の顔をそっと覗き込む。