小さな恋【完結】
「……あっ……」


扉の前に立っている人物に気付いた途端、全身から血の気が引いていく気がした。


唇を震わせて怒りを露わにする繭ちゃん。


繭ちゃんはあたしを鋭い目で睨み付けると、こちらに歩み寄ってきた。



「大知……離して……」


どうしよう。よりにもよって繭ちゃんに見られちゃうなんて……。


大知の胸を力いっぱい押しても、大知はあたしを解放してくれない。


「大知ってば!!」


そう叫んだ時、繭ちゃんは目の前に立って鬼のような形相であたし達を見下ろしていた。
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