小さな恋【完結】
大知に抱きしめられるのは、2年ぶりだね。


……あ、ダメ。もう無理かも。


ずっとせき止めていた感情が一気に溢れだす。


今、こうして大知に抱きしめられている状況が夢みたい。


大知……あたし達、すごい遠回りしたけど、ようやく辿り着いたんだね?



前よりも大きな胸に顔を埋めると、自分の意志とは関係なく、頬に涙が伝った。


「やっと俺の大切さに気付いた?」


冗談っぽくあたしの耳元で囁く大知。


「うぅあぁぁん……ッ……――!!」


あたしは返事をすることもできないくらい、しゃくり上げて涙を流した。


そんなあたしの背中を、大知はやさしくさすってくれた。
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