小さな恋【完結】
「まさか、本当にここから飛び降りるとか思った?そんなわけないじゃん」
繭ちゃんはケラケラと楽しそうに笑う。
「嘘だったの……?」
「うん。だって、フェンス乗り越えてないでしょ?死ぬ気なら、とっくに乗り越えてるって」
「……――っ」
あたしはツカツカと繭ちゃんに歩み寄ると、繭ちゃんの目を真っ直ぐ見つめた。
「今度そんな嘘ついたら、絶対に許さないからね!!」
繭ちゃんが死ぬんじゃないかって考えたら、足がブルブルと震えた。
足が地面に張り付いてしまったみたいに動かなくて。
口の中がカラカラに乾いて、唇が震えた。
「……そんなこと言ってくれたの、真依子ちゃんが初めてだよ?」
繭ちゃんはそう言うと、広い空を見上げた。