小さな恋【完結】
「なれるよ。そのかわり、お互い利用したりせず無条件で……ねっ?」
ニコリと笑いながらそう提案すると、繭ちゃんは首を横に振る。
「どうして?あたしが友達だと嫌?」
「違うよ。そういうんじゃない……」
「じゃあ、なに?」
「あたし……形だけの友達しかいないから。人を信じるのが恐いし、信じられないから」
繭ちゃんはあたしと目を合わせずにそう言うと、下唇をキュッと噛んだ。
あたしはポケットから携帯を取り出して、目の前でかざす。
「じゃあ、友達の始まりとして番号教えて?」
「……ふぅん。真依子ちゃんって、結構強引なんだ?」
繭ちゃんの顔が笑顔になる。
ピッピッと携帯を操作すると、繭ちゃんの名前が電話帳に並んだ。
「暇があったらいつでも連絡して?あたしはいつでも暇だから。ねっ?」
「……真依子ちゃん、お人好しすぎ」
「あたしがお人好し?ん~それは、ないなぁ……」
そう答えると、繭ちゃんは視線を足元に移した。