小さな恋【完結】

「あたしね、昔……一番仲の良かった友達に言われたんだ。『あんたなんか死んじゃえばいい!』って」


「死ねって……何それ……」


いつの間にか繭ちゃんの目から涙が溢れ出していた。


それに気付いて、あたしは丸まった背中をゆっくり撫でる。



「その子の好きな人が、あたしのこと好きだったんだって。ただそれだけのことで『死んじゃえ』なんて酷くない?その子のこと、ずっと親友だと思ってたのに……」


恋をすれば必ず両想いになれるわけじゃない。


両想いになれる人、片想いで終わる人。


それを第三者のせいにするなんて、フェアじゃない。


そんなの、ただの八つ当たりだ。



「それからあたし、少しおかしくなってた。相手が彼女持ちだろうがなんだろうが、手当たり次第って感じで。でも、自分から誘ったことは一度もないの」


「そっか……」


「浮気者の彼氏に早く気付けてよかったじゃない、とか心の中で毒づいたりしてた。最低でしょ?里奈ちゃんが言ってたモエって子の彼氏もあっちからちょっかい出してきたの」


繭ちゃんの涙が頬を伝う。


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