小さな恋【完結】
「でも、結局何も得るものなんてなくてさ。高校に入って新しい環境で友達作ろうと思ったけど、なかなか出来なくて。そんな時、仲の良い真依子ちゃんとりっちゃんが羨ましくなって……」
涙を流していても、どこか気を張っているように見える繭ちゃん。
あたしは相槌を繰り返しながら繭ちゃんの背中を擦った。
「大知を紹介してって真依子ちゃんに頼んだのも、最初はちょっとした意地悪のつもりだったの。真依子ちゃんが大知と付き合ってたって知ってたから」
「うん……」
「わざと大知を使って、真依子ちゃんの邪魔してた。……ごめんね。あたし最低だ……」
繭ちゃんは力なくそう言うと、「ごめんね」と何度も繰り返しながらあたしに頭を下げた。