小さな恋【完結】
「覚えてる?一緒に探そうって言って、時間ギリギリまで探し回ってくれたの」
「でも、結局、カバンのポケットに入ってたんだっけ?」
「……そう。探してる間、もうダメだって諦めて泣くあたしの背中を、さっきみたいに撫でてくれた」
繭ちゃんはそう言うと、優しく微笑んだ。
「あの時、この子と友達になりたいって心の底から思ったの。だから、同じクラスだって分かった時、本当に嬉しかったんだよ。真依子ちゃんは、あたしのことなんて覚えてなかったみたいだけど?」
「ごめんごめん、あたしホント記憶力悪くて」
苦笑いを浮かべながらポリポリと頭をかくあたしを見て、繭ちゃんはクスッと笑う。