小さな恋【完結】


繭ちゃんには、あたしの知らない過去があって。


『友達』とか『友情』とか……そういうものを信じられなくなっていたんだ。


だから、あたしを試そうとしたのかもしれない。


大知と繭ちゃんが付き合っていると知ったあたしが、どういう行動に出るか。


繭ちゃんには、あたしの大知への気持ちは全てお見通しだった。



「真依子ちゃんは最後まで、自分の気持ち言わなかったよね。あたしに気を遣って」


「……そうだっけ?」


「そうだよ。さっきも屋上で謝ってばっかりでさ。真依子ちゃんは何にも悪いことしてないのに。謝るのはあたしの方なのに……!!」


「ちょっ……繭ちゃん、もう泣かないで?」


再び肩を震わせた繭ちゃんの顔をそっと覗き込む。






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