小さな恋【完結】
「ねぇ、繭ちゃん。お腹空かない?」
「……え?」
「今から、一緒に何か食べに行こうよ!」
「……うん!いこっか!!」
繭ちゃんの手を引っ張ると、繭ちゃんはすぐに眩しいほどの笑顔を浮かべて頷いた。
もうあたし達の間には、何のわだかまりもない。
……――繭ちゃん、あたし思い出したよ。
入試の日、受験票を見つけた女の子……
一年前の繭ちゃんのこと。
『ありがとう、本当にありがとう!!』
カバンのポケットの中にあった受験票。
それを見つけると、繭ちゃんは何度も何度も頭を下げてお礼を言った。
あたしが見つけ出したわけじゃなかったのに。
その時ね、心の綺麗な子だなって思ったんだ。
繭ちゃん……あたしはやっぱりあなたと友達になれてよかった。
駅前のクレープ屋に始まり、ゲーセン、カラオケのフルコースを終えた頃、外は真っ暗だった。
空を見上げると、たくさんの星がキラキラと輝いていた。