小さな恋【完結】
昼休み。
「昼飯忘れた~。里奈、売店一緒に行って?」
一哉先輩とケンちゃんがあたし達の教室にやってきた。
最初こそ『カッコいい先輩が来た!!』って騒いでたクラスメイトも今はあまり騒がなくなった。
ケンちゃんがりっちゃんと付き合っていると知ってから。
そして、一哉先輩とあたしも付き合っていると誤解してるから。
「しょうがないなぁ。ごめん、真依子。一哉先輩と先に屋上行ってて?」
ケンちゃんは「悪いね~!!」と謝りながらも、全く反省していない様子で両手を合わせる。
露骨なケンちゃんの態度にあたしは苦笑するしかない。
「先行こうか?」
「……はい」
机の上のコンビニ袋を掴むと、あたしは一哉先輩の後を追って屋上へ向かった。