小さな恋【完結】
「あたしなら、ここにいるよ?」


「あぁ……確かに。つーか、どうして家に入ってこれたわけ?」


「チャイム鳴らしたら、唯ちゃんが開けてくれたの」


「そっか……。唯が……」


ようやく覚醒した大知は、あたしの腕を優しく引っ張る。


「寝坊してごめんな?」


「……別にいいよ。毎日バイトしてるし、疲れてるもんね」


ギュッと抱きしめられると、寝坊したこともデートの約束を忘れていたこともどうでもよくなる。


ただ、今ここにある大知の温もりがあれば……


他にはなにもいらない。


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