小さな恋【完結】
「……ん?」


振り返ると、唯ちゃんは3人から身を隠す様にあたしの後ろに立っている。


ひどく怯えている様子で。


「……唯ちゃん?」


小声で名前を呼ぶと、唯ちゃんは無言で首を左右に振る。


裾を掴む唯ちゃんの手に力がこもっているのに気がついて、あたしは3人に向き直った。


「じゃあ、またね?」


「え~?もう帰っちゃうの~?唯ちゃん、一緒に見て回ろうよ~」


「そうだよ~!一緒に回ろうよ!!」


3人があたしの横を通り過ぎて唯ちゃんの隣に移動する。


その瞬間、唯ちゃんはガバっとあたしの腰にしがみついた。

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