小さな恋【完結】
涙
12月を明日に控えたこの日、あたしは大知の家にやってきた。
「唯、昨日からなんか元気なくてさ。聞いても何も答えないし」
「じゃあ、学校が終わったら、あたしが唯ちゃんに聞いてみるよ」
「悪いな、助かる」
昼休み、大知に唯ちゃんの話を聞いたあたし。
唯ちゃんにいったい何があったんだろう……。
大知に借りた鍵で扉を開ける。
玄関に入っても中はシーンっと静まり返っていた。
「こんにちは~!!唯ちゃん~?遊びにきたよー!!」
大きな声で唯ちゃんの名前を呼んでみても返事がない。
何故か嫌な胸騒ぎを感じて慌てて靴を脱いで家の中を探す。
「唯ちゃん、入るよ?」
コンコンッとノックをした後、唯ちゃんの部屋の扉を開ける。
その瞬間、ドクンっと心臓が不快な音を立てた。