小さな恋【完結】
「唯ちゃん……――?」


部屋の隅で膝を抱えている唯ちゃん。


泣き腫らしたのか目は真っ赤で。


ひとりっきりで暖房器具のない寒い部屋の中で涙を流していた唯ちゃん。


その気持ちを思うと、胸に熱いものが込み上げてくる。



「おねぇ……ちゃん……」


唇を震わせながらあたしを呼ぶ唯ちゃん。


か弱いその声が必死に助けを求めている。


そんなに小さな体で大きなものを背負って。



「唯ちゃん……――!!」


あたしは唯ちゃんに駆け寄ると、冷え切っている小さな体をギュッと抱きしめた。
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