小さな恋【完結】
「今日ね……――」


唯ちゃんは、鼻をすすりながら話してくれた。


それを聞いていると、胸が張り裂けそうになって。


あたしは震える唇をグッと噛んだ。



昨日、唯ちゃんが学校に行くと雑貨屋で会った3人組が声をかけてきたらしい。


「どうして唯ちゃん、もっと可愛い服着ないの?」


唯ちゃんにとって、その服はとても思い出深いものだった。


唯ちゃんのお母さんが出て行く前に買ってくれた、最後の洋服だったから。


「しょうがないよ。唯ちゃんってママいないらしいし」


「唯ちゃんのママって、唯ちゃん置いて出て行っちゃったんでしょ?うちのママが言ってた」


その言葉は、小さな唯ちゃんの胸に突き刺さった。
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