小さな恋【完結】

離れ離れ

どのくらい泣き続けていたんだろう。


気付くと窓の外は薄暗くなっていた。


泣き疲れて眠ってしまった唯ちゃんを抱えてベッドに寝かせると、あたしは部屋を後にした。


階段を下りている途中、突然玄関のドアが開いた。


そこにはニコリと柔らかい笑みを浮かべる大知のお父さん立っていた。


「……あっ……こんにちは!お邪魔してます!!」


「あぁ、こんにちは。よく来たね」


お父さんとは何回か顔を合わせたことがあるけど、こうやって面と向かうと少しだけ照れ臭い。


玄関で靴を脱いでスリッパに履き替えると、お父さんはクイクイッとこっちに向かって手招きした。


「さっき、駅前でシュークリームを買ったんだ。よかったら一緒に食べないかい?」


手に持っている小さな箱を持ち上げるお父さん。


あたしは大きく頷いた。


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