小さな恋【完結】
編入試験の合格通知が来たのは、それからすぐのことだった。
そして、その通知の後……あたしと大知は付き合い始めた。
「それが最近になって行かないなんて言いだしてね。引っ越すっていう決意を固めたものだと思っていたんだけど……まったく困ったもんだ」
お父さんはやれやれという表情で、冷え切ったコーヒーを口に運ぶ。
引っ越しをしたくないという大知。その理由を何度尋ねても大知は答えようとはしなかった。
その理由の一つがあたしの存在であるのは間違いない。
大知はきっと今も、あたしとお父さんの間で板挟みになって苦しんでる。
苦しい顔なんて、絶対に見せないけれど……。