小さな恋【完結】
目の前の冷え切ったホットココアと食べかけのシュークリ―ムが歪んで見える。


ここで泣いたら、お父さんは罪悪感を抱くだろう。


あたしは痛いほどに唇を噛んで、顔を上げた。



「あのっ……――!!」


お父さんは二人にとってベストの選択をしたいと考えている。


父親として、子供たちの幸せを心の底から願っている。


だったら、あたしも……。


それがどんなに辛いことでも……。


「真依子ちゃん……?」


お父さんは俯くあたしの顔を心配そうな表情で覗き込む。



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