小さな恋【完結】
「……――お邪魔しました!!」


形の崩れたローファーに足を入れて、追いかけてくるお父さんに目もくれずあたしは外に飛び出した。


門扉を開けて全速力で走りだす。


風が冷たい。耳がジンジンと痛みだすのも気にせずに走り続ける。


走って、走って、ただがむしゃらに走って。


あたしはアスファルトの上に転がった小さな石に足をとられて激しく転んだ。


「いっったぁ……――」


……最悪。こんな時に転ぶなんて……。


あたし、ホントバカみたい……。



すり剥いた膝から真っ赤な血が流れ出る。


あたしは地面に座り込んだまま、目を瞑った。
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