小さな恋【完結】
涙腺が壊れちゃったみたい。


涙はとめどなく溢れ出して頬を濡らす。


目の下はマスカラで真っ黒になっているはず。


だけど、もうそんなことも気にならない。



「大知……ッ……唯ちゃん……――!!」


離れたくない。


二人と離れたくないよ……――。


ここに二人はいないのに、あたしは何度も二人の名前を呼んだ。




ワァーッと地面に座り込んだまま声を上げて泣くあたしに通行人が好奇の眼差しを向ける。



もう誰に見られたっていい。


誰に笑われたっていい。


二人があたしから離れていかないなら、それでいいの。
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