小さな恋【完結】
「なぁ、真依子。こないだの話だけど……―」
「またその話?何度説得しても、あたしの気持ちは変わりはないよ?絶対に行かなきゃダメ!!」
お父さんから引っ越しの話を聞いたと伝えると、大知はすぐに顔を強張らせた。
『いかねぇよ。サッカーより何より、今一番大切なのは真依子だから』
大知はそう言ってくれたけど、あたしの決意は変わらなかった。
『どうしてそんな平気な顔でいるの?引き止めなよ!!』
遠距離になるって分かってて大知の背中を押すあたしを、りっちゃんと繭は不思議がっていた。
何とか説得しようとする二人に、あたしは笑顔で言った。
『大知のことが本当に好きだから、行ってほしいの』
あたしの気持ちが通じたのか、りっちゃんも繭も、それ以上何もいわなかった。