小さな恋【完結】

あたしは両手で震える体を抱きしめた。


震えてるのは、きっと寒いからじゃない。


恐いんだ……。大知が離れていってしまうのがとてもつもなく恐い。


あたしの肩を掴む大きな温かい手。


その熱を、あたしはあと少ししたら手放すんだ。



「ねぇ、大知。あたし達……大丈夫だよね?」


「あぁ。大丈夫。少しの間、離れ離れになるかもしれないけど、同じ空の下にいるんだからさ」


二人揃って真っ青な空を見上げる。


大丈夫。同じ空の下にいる。


そんな大知の言葉が温かく胸に染み渡った。

< 350 / 460 >

この作品をシェア

pagetop