小さな恋【完結】
「目、開けて」


恐る恐る目を開けると、あたしの右手の薬指に指輪がはめられていた。


小さなダイヤの埋め込まれているシンプルな指輪。


「これって……」


「誕生日、おめでとう」


「え……?」



あたし、今日誕生日だったんだ……。


大知の言葉にようやく状況が飲み込めた。


「ハハッ……あたし、すっかり忘れてた……」


12月26日。大知が引っ越す日。


あたしの頭の中のスケジュール帳には、自分の誕生日じゃなく、そう記されていたから。


ポツリと呟くと、大知は「マジで?」と呆れたように笑っていた。
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