小さな恋【完結】
「唯、先に駅に入ろう。真依子ちゃん、見送ってくれて本当にありがとう。これからも二人を頼むよ」


「……はい。こちらこそ。お気をつけて」


柔らかい笑みを浮かべながら小さく頭を下げて、唯ちゃんの手を握るお父さん。


「唯ちゃん、またね……!」


「うん、お姉ちゃんまたね!!」


涙を拭いて顔を上げた唯ちゃん。


その表情がほんの少し前に比べて大人びた気がして。


大人になりきれてないのはあたしのほうかも。


お父さんと唯ちゃんは、あたしに手を振ると駅の中に消えていった。
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