小さな恋【完結】
『あたしね、バイト始めたの!!』


いつものようにその日の出来事を報告していると、耳に届いたのは大知の不機嫌そうな声だった。


『バイト?何のために?』


『何のためって……欲しい物買うため……だけど?』


本当の理由を大知に話す訳にはいかない。


あたしがバイトを始めた理由。


それは、大知に会う為だったから。


大知がこっちに帰って来るのは12月25日。


それなら、あたしがお金を貯めて大知に会いに行けばいい。


お金が貯まったらすぐにでも大知に会いにいくから……。


そんな簡単なことにようやく気付いたから。


突然、大知の前にあたしが現れたら、大知はどんな顔をするんだろう。


考えるだけでワクワクしてきて、いてもたってもいられない。
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