小さな恋【完結】
『なんのバイト始めたんだよ』


『ティッシュ配りだけど……』


『ティッシュ配りのバイトなんて、やめろよ』


だけど、あたしの気持ちとは裏腹に大知はあたしがバイトを始めたことに対して嫌悪感を露わにした。


『どうして?』


『ティッシュ配りなんてしてたら、男が寄ってくるに決まってんだろ』


『そんなことないよ。ただティッシュを配るだけだもん。それに、りっちゃんも繭も一緒だし』


『あいつらは関係ないから。つーか、欲しい物って何?それなら俺が買ってやるよ!!』


『……――大知、やめてよ!!』


あたしは思わず声を荒げた。



あたし、大知に買って欲しい物なんて何もないんだよ。


ただ、大知に会いたいの……。


あたしが本当に欲しいのは、大知のぬくもりなんだ。


< 415 / 460 >

この作品をシェア

pagetop