小さな恋【完結】
「俺、何か怒らせるようなこと言ったっけ?」
「さぁ?言ってないと思うけど」
突然屋上から出て行った一哉先輩にケンちゃんもりっちゃんも首を傾げて考え込んでいる。
もちろん、その理由があたしに分かるはずもなくて。
3人で考え込んでいると、タイミング良くチャイムが鳴った。
「よし、飯も食ったし午後は寝るぞー!!」
「ケンちゃん!ちゃんと勉強しなよ!!」
立ち上がったケンちゃんをりっちゃんが横目で睨む。
「はいはい、分かりましたよ~」
「はい、は一回でいいの!!」
二人の会話をどこか遠巻きに聞きながら、あたしは大知と付き合っていた頃の出来事を思い出していた。