小さな恋【完結】
「なぁ、真依子」
「ん?なに?」
突然ピタリとその場に立ち止まった大知につられて、足を止める。
すると、大知は少しだけ顔を強張らせた。
「俺さ、まだ諦められてない」
「……え?」
「スゲェしつこいって自分でも分かってる。だけど、俺はまだ真依子のことが好きだから」
その言葉に心臓がドクンと激しく鳴り始めた。
「好き」という言葉が。
あまりにも純粋で真っ直ぐな大知の瞳が。
あたしには何故かとても怖かった。
あたしを見つめる大知の強い眼差しから逃れるように、あたしはただ俯くことしかできなかった。