小さな恋【完結】
ライバル
「ねぇ、真依子ちゃん。ちょっと話があるんだけど、いい?」
今から休み時間という時、突然クラスメイトの繭ちゃんに話し掛けられた。
クリっとした丸くて大きな瞳で見つめられると、女であるあたしですら少しだけドキッとしてしまう。
いつも真っ先にあたしの席にやって来るりっちゃんは他のクラスメイトとお喋りに夢中で。
「うん、いいよ」
あたしがそう答えると、繭ちゃんは嬉しそうに微笑んで空いていた席に座った。
その時、ふわりと風に乗って届いた香水の甘い匂い。
「あのね、話って言うのは大知君のことなの」
その香水と同じように甘ったるい声で繭ちゃんはそう言った。
「え……?大知?」
大知の名前に動揺して、思わず目を泳がせる。