小さな恋【完結】
「真依子ちゃん、お願い。いいよね?」
すがるような目で見つめられて、思わず口ごもる。
だけど、繭ちゃんのお願いを聞くわけにはいかない。
「大知の連絡先をあたしが繭ちゃんに教えちゃうのはマズイと思うんだ。プライバシーの侵害っていうかなんていうか……ねっ?」
できるだけやんわりとした口調でそう言うと、繭ちゃんは露骨に肩を落とした。
「真依子ちゃんは、大知君が好きなの?だから何も教えてくれないんでしょ?」
「ち、違うよ!そんなつもりじゃないよ」
「じゃあ、意地悪してるの?」
「別に意地悪してるつもりじゃ……」
意地悪するつもりもないけど、大知の連絡先を教えるつもりもない。
もしかしたらあたしはかなり矛盾しているのかも。