小さな恋【完結】
「……ごめん」
あたし、やっぱり協力なんてできないよ。
大知を紹介することも無理……。
あたしには、そんなことできない……。
「えっ?何?聞こえなかったんだけど」
小声でそう呟くと、うまく伝わらなかったのか繭ちゃんは右耳に手を添えて首を傾げる。
そんな動きすら彼女がするならば華があって人の目を引く。
「あのね、あたし……――」
「あれ?珍しい組み合わせじゃん」
そう言いかけた瞬間、近付いてきたりっちゃんがあたしと繭ちゃんの顔を交互に見ながら目を丸くした。
「じゃ、真依子ちゃん。さっきのことよろしくね?」
繭ちゃんはりっちゃんと目を合わせることなく、自分の席に戻っていった。