小さな恋【完結】
繭ちゃんは、大知のことを『好き』と言った。
小学生の時も中学生の時も。
『好き』と先に口に出した方が勝ち。
何も言えなかった方が負け。
女子の間には暗黙のルールが存在していて。
好きな人が友達と被るなんてよくあることなのに。
学校っていう狭い世界の中にいる男の子の数なんて限られているんだから。
でも、先に『好き』と言った人を押し退けてしまえば、それは裏切り行為になる。
それがキッカケで嫌がらせを受けたり、イジめられたり……。
中学時代、あたしはそんな光景を度々目撃した。