ネコ専務シリーズ
週末の朝10時。花好きの母のために、
ネコ専務が花屋で買ってきたバラの花束
をもって横浜の洋館に行き、玄関チャイ
ムを鳴らすと、すぐにガチャッと立派な
木製のドアが開いて、半年ぶりの母の、
笑みに輝く白い顔が現れた。
ネコ専務は母に花束を渡して邸宅に上が
りこもうとしたが、母猫はこっちこっち
と手招きして広い庭の方へ回り、5月の
陽光の下にセットされた丸テーブルと
2脚の北欧製のイスを手で示した。
テーブルの上にはチョコレートケーキや
ティーカップやポット、花には詳しく
ないネコ専務には何の花か言えないが、
どこかで見たことはありそうな春らしい
花をたっぷり盛った大型のガラス製花瓶
が置かれてある。
ネコ専務は、あなたはそっちね、と言わ
れた席にニコニコして座る。
気ままは立ったまま、さっそく紅茶を
ポットから2個のティーカップに注ぎ
始めた。
そうして、ケーキを前にして口元をほこ
ろばせたネコ専務の鼻孔は、ティーカッ
プから立ち昇るダージリンの香りを
かいだ。
おしまい
ネコ専務が花屋で買ってきたバラの花束
をもって横浜の洋館に行き、玄関チャイ
ムを鳴らすと、すぐにガチャッと立派な
木製のドアが開いて、半年ぶりの母の、
笑みに輝く白い顔が現れた。
ネコ専務は母に花束を渡して邸宅に上が
りこもうとしたが、母猫はこっちこっち
と手招きして広い庭の方へ回り、5月の
陽光の下にセットされた丸テーブルと
2脚の北欧製のイスを手で示した。
テーブルの上にはチョコレートケーキや
ティーカップやポット、花には詳しく
ないネコ専務には何の花か言えないが、
どこかで見たことはありそうな春らしい
花をたっぷり盛った大型のガラス製花瓶
が置かれてある。
ネコ専務は、あなたはそっちね、と言わ
れた席にニコニコして座る。
気ままは立ったまま、さっそく紅茶を
ポットから2個のティーカップに注ぎ
始めた。
そうして、ケーキを前にして口元をほこ
ろばせたネコ専務の鼻孔は、ティーカッ
プから立ち昇るダージリンの香りを
かいだ。
おしまい