ネコ専務シリーズ
しかしネコ専務は、自分の左隣に座って
いるネコガールが、そろそろ本当に帰り
たがっているのが分かった。そこで、

「いろいろお話ありがとう、ためになり
 ました。
 このパンフレットを頂いて、そろそろ
 我々は帰るとしますよ」

と立ち上がったのだが、部屋にいた3人
の美信者たちは、

「またお越し下さい」

とにこやかに応じ、特に無理に引き留め
る様子はない。ここでまた、ちょっと
意外に感じて、ネコ専務はうーむと思う。

彼らのこの自信満々ぶりは、どこから
来るものだろう?

来訪者たちは、美信者たちにニコニコと
見送られながら、無事マンションの外に
出ることができた。

ネコガールはもう後ろには何の興味も
なさそうに、どんどん歩いていく。

しかしネコ専務の方は、一体あの宗教
団体は何なのか、教祖のトーマス横島
とは何者かなどと考えながら、

夕暮れ迫る渋谷の街を、夕食のネズミ
レストラン「ラット・ラット」へと急ぐ
ネコガールの後を追って、足早に下って
いったのであった。
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