Sleeping baby ~眠り姫~
遠くを見るような目で感慨に浸る兄は、きっと児童養護施設に居た時の事を思い出しているんだと思う。
まだ幼かった兄には、きっとアタシが想像も出来ないような辛い出来事が沢山あったんだろう。
兄ちゃん…そんな痛みを堪えるような顔しないで、
兄ちゃんはもう一人じゃないんだから!
父さんだって、母さんだって、私だって居るんだから!
「兄ちゃんはもう一人じゃないでしょ!私がいるじゃない!」
兄ちゃんの悲しむ顔なんて微塵も見ていたくないもの。
父さんも母さんも私も居るんだよ?
だから兄ちゃんにはいつだって笑って居て欲しい。