Sleeping baby ~眠り姫~
結婚1ヶ月半
兄ちゃんと結婚して一ヶ月半が過ぎ、時の流れの早さにやや焦りを感じ始めたヒカルは、何か良い打開策は無いものかと、今日も兄とこの難問に果敢に立ち向かい討論を繰り広げていた。
『ヒカル、オレ達が兄妹だったという事実はもう忘れよう』
今日の兄はなかなかやる気を出しているようだ。
「兄ちゃん、兄妹だったという事実を忘れるって…どうするの?」
確かにいつまでも兄妹だという思いを無くせないから前に進めないのだ。
『兄妹だと思うから一線を超えられないんだ。
そうだな…家族だと思わずに、クラスメイトだと思おう。
家族というクラスメイトだった事にするんだ』
家族というクラスメイトか…なるほど。
「でも、それだと兄ちゃんはダブりという事になってしまうぞ。しかも3年も」
ヒカルはふと3年もダブった旦那様なんてイヤだなと思ってしまった。
『細かい事は気にするな…じゃ先輩だと思え』
なるほど、それならいいかもしれない。
「それでどうするの?」
『ヒカル、今から兄ちゃんが話すシナリオを良く聞いておくんだぞ、そしてその通りにするんだ』
一瞬、何だかとてつもなく不安が過ぎったのだけれど、とりあえずヒカルは兄ちゃんの話を聞いてみようと思った。