Sleeping baby ～眠り姫～

ヒカルのお父さんが児童養護施設に来たのは、オレが４歳の時だった。



最初は誰かの父親が面会に来たのかと思っていたけれど、その日は児童養護施設に預けられている子供達が月に一度親と過ごす日で、施設に残っていたのはオレ一人だけだった。



他の皆はオレみたいに捨てられた訳じゃない。事情があって預けられているだけだ。



そんなオレにヒカルのお父さんは優しく微笑みかけてくれて、何が好きなのかとか将来の夢は何なのかとか、そんな他愛のない話をしていた。



そしてしばらく話をした後に、一枚の写真を見せてくれた。



その写真には、まだ小さな赤ちゃんの可愛い女の子がスヤスヤと眠っている姿が写っていた。



全てに安心したような、何も疑う事を知らない幸せな寝顔。



その写真を見た時、オレはそこに自分の夢見ているものが全て写っていると思った。



それはオレが望むものそのものだと思った。