【短編】私の執事は彼氏様!?
「いや!」
私は逃げようと必死に抵抗した。
なんで?
私の力ってこんなに弱かったの?
じゃあ、いままでどうやってここまできたの……?
「……輝………」
「あぁ? なんだって?」
輝が私のできない事を全部やってくれてたんだ。
というか、押し付けてたんだ……。
なのに、私は…………。
そう思いはじめたら、涙が止まらなくなった。
「輝、たす…けて、よぉ……」
「はぁ? なにいってんだ?」
周りの男達はケラケラ笑いだした。
その時、足音がした。
私は足音がした方を向く。
すると、輝にそっくりな輝の兄がやってきた。
「光(こう)……?」
「そうだけど、どうしたんだよ?」
「見ればわかるでしょ! 助けて!」
私は光に頼んでみた。
「仕方ないな」
そう言って、あっという間に追っ払ってくれた。
「ありがと……はいいけど、何でここにいるの? あと、輝がどこにいるか知らない?」
「ここにいんのは、輝に呼ばれたから」
「じゃぁ!」
「でも、お前の声を聞いて逃げるように出てった」
「まだ近くにいるの?」
「たぶん、おいつかねぇよ? あいつ、タクシー使っていったから」
それを聞いてがっくり肩を落とした。