猫の気まぐれ
春樹は私の兄貴。
まぁ、つまりは兄妹。
整った顔立ちは驚くほど私に似てない。
「なんでここに?」
「えっ? あぁ…」
当初の目的を思い出し、入ってきた路地裏の入り口を見る。
と、目につく、黄色い髪。
「春樹、またな」
「は…?」
…返事も待たずに走り出す。
「――――…治ったか…?」
春樹の悲痛な…なにかにすがるような声に立ち止まる。
「――――…まだ」
一言返せば、泣きそうに歪む春樹の顔。