猫の気まぐれ
振り返って男の顔をよく見る。
パッチリとした二重瞼の童顔。
女の子、って言われても納得できそうな女顔。
「…えっ?」
振り払われたのが意外なのか、目を見開き、こっちを凝視してくる。
「…んな」
「えっ?」
「触ってんじゃねぇ…!」
自分の声とは思えぬ程、低い声がでた。
…意外なことに、男は怒るどころか…。
「あははははははっ…!」
笑い始めた…。
「………」
「ご、ごめん…! つい…」
それでも堪えきれないのか、肩を震わせて笑い続ける男。
私はそれに構うことなく、歩き始めた――――…
が…。
「龍! 面白い娘、発見しちゃった!!」
なにが嬉しいのか、ニコニコしながら男は、こっちにゆっくりと近付いてくる男に話しかける。