近くて遠い距離
「どしたの、奈央ちゃん。元気ないよ?」

突然の翼くんの言葉に動揺してしまう。
ダメ、ダメ!
こんなじゃ彩に気付かれちゃうよ!

「そ、そんな事ないよ~。
ホント、ここのケーキ美味しいねっ!」

「うん!今度、姉貴に教えてやろうかな」

「翼ったらお姉ちゃんがいるの!?」

彩はすかさず突っ込む。
私も彩みたいに気兼ねなく喋れたらな…。

「うん。4つ上なんだ」

「大学生?」

「うん。青漣大の2回生」

「青漣ってお金持ち大学だよね?」

「そうなの? 別にうちは金持ちじゃないよ。
高校が青漣で、そのまま上がっただけ」

「高校からなら、やっぱお嬢様じゃないの~!」

なんか、彩と翼くんって相性いいよね?

「姉貴は帰国子女だったから、私立の高校に編入したんだ」

「って事は…翼も帰国子女?」

「え? ああ、まあね」
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