近くて遠い距離
「・・・ねぇ、翼くん。
腕、痛いよ」

「あ、ごめん、奈央ちゃん」

我に返ったのか、やっといつもの翼くんに戻った。

「もっと、演奏を見たかった?」

「うううん。翼くんのバンドが見れたから、それで十分」

「なら良かった。
ホントは最後まで残るべきなんだけど…客席にいるのも鬱陶しいし、打ち上げ行っても俺、未成年だし」
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