近くて遠い距離
「ツバサ~、ヒューヒューッ」

「うっせぇ、匠。黙ってろ」

匠(たくみ)くん・・・
翼くんのバンドのドラムの人だ。

こんな姿を匠くんに見られたなんて…(///)

いくら時間が遅いからって
昇降口だもん、人の出入りは当然だよね。

自分の行動に恥ずかしくなって、私は真っ赤になってしまった。

「涙、止まったね(笑)
でも今度は真っ赤だよ?茹で蛸みたい・・・」

「翼くんの意地悪っ!!」

「じゃ、一緒に帰ろっか?」

「・・・うん」


今は翼くんの優しさに甘えていたい。

このまま龍ちゃんの事も彩の事も忘れて…。

ほんの少しの間だけでいいから。
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