近くて遠い距離
翼くんは何も訊かなかった。

ただ傍にいてくれる。
それが凄く嬉しかった。
電車に乗っている間も、楽しい話で笑わせてくれた。

結局、心配症の翼くんは家まで送り届けてくれた。

翼くんには借りがいっぱいだ。
いつか返せる時が来るんだろうか。

「じゃあ、また明日」

「ありがとう、翼くん」

「イイってば。じゃあな!」


家に帰ると携帯に彩からの着信が沢山あった。

ずっとマナーモードにしてて気付かなかったんだ。

いつまでも出ない私に諦めたのか、メールも来ていた。
< 94 / 264 >

この作品をシェア

pagetop