君との、物語

2、私の太陽。

初めて話した時から、毎日帰りに交差点を見るのが楽しみになっていた。

私は、勝手にあの人のことを「みみくん」と呼んでいた。耳が真っ赤だったのが未だに頭を離れないので、みみくんと呼んでいる。

けれど、みみくんに会える確率なんてすごく少なかった。

1週間のうちに会えるのは、2日、3日が最高だった。

時には、1週間全部会えない日もあった。

だからこそ、会えた時の感動は計り知れない。

だけど、話すことなんてほとんどが。「寒いね!」とか、「カバン重くない?」とかしかなかった。

それだけでも、話せることは嬉しかったけど、もっと色んな話がしたかった。

実は、私はみみくんの本当の名前も知らない。どこの高校で、血液型が何型で、部活は何をしているのか、誕生日はいつのなのかも、彼女はいるのかとか、どんな子がタイプなのか、とか・・・。

考え出すと本当にたくさん聞きたいことや、話したいことが出てきた。
だけど、それができれば苦労しないんだろうな・・。って、1人で考えていた。

「まーな?何考えてるのー?」
って、目の前で手を振る亜美。

「ああ、ごめん。何の話だっけ?」

「もー!しっかりしてよ!」
って、怒る亜美は何だか少しだけ落ち込んでいた。

「だーかーら!明日の放課後空けておいてね!って、言ったの!」

「ああ!はいはい。分かったけど。何で?」

「明日は、勉強会!ウチの家でね!明日は補習も塾もないし、勉強しながら話そ!」
って、なぜだか気丈に振舞う亜美。

こういう、強がりをする時って、亜美は落ち込んでいることや、悩んでいる時だ。

まあ、全ては明日聞かないとな・・。と、私は1人で思っていた。

そして、いつも通りに帰っていった。やっぱ、今日も会えないや・・。って、落ち込みながら帰る。
なんだか、こうやって帰るのにも慣れてきたな・・。
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