ドキドキしてる
屋上の耳
「うそ…」
(長岡くん…だ…)
「ごめん!センセイ!聞いちゃったってか聞こえたから(笑)」
「………。」
「だっ…だからって!笑うことないでしょ!…そんなに下手…だった…?」
恥ずかしかった私は、顔が熱いのを感じながらも落ち着こうと必死だった。
「そんなコトないよっ、ただ(笑)声がやたら響くというか、デカイというか(笑)」
まだ顔が熱い。
「センセイみたいな大人でも、あんな子供みたいに歌うんだなぁってなんか可愛くて(笑)ね!ソラ先生!」
(かっ、かわいい??)
「子供みたいって…だからって下の名前で呼ばないでよね!」
笑われた事よりも、「可愛い」って言葉だけが頭の中で一杯になって、
どうでもいい事を言い返していた。
なんで意識しちゃってるんだろう、生徒相手に。
いつも見つめられていたから?と自問自答してる。
「ゴメンっ!忘れて!!歌とかうたってたコトっ!」
歌を聞かれてしまった事や、子どもみたいと笑われた事、「可愛い」と
言われ意識してしまった事全部が恥ずかしくて、
私は彼を見ずにその場から立ち去っていた。
(あぁ…どうしよう…。私、バカだと思われたよね絶対…。)
教室に戻ると、彼、長岡くんは…いた。
授業サボってくれたら良いのにと、教師らしからぬ思いに
させられた。
彼は、またあの優しい目でソラを見つめていた。
まだ、日も暮れぬ校舎の窓の外を見ながら
(今日は飲みに行くしかない…!)
とソラは思っていた。
いつもの店に。