桃色ブルー
でも由希の頭からその人は消えてくれなかった。
「きゃ……っ」
由希の上にまたがって満足させる気満々だった佳奈の腰を由希が急に掴んだ。
勢いよく起き上がった由希はなにか真剣な顔をしていた。
「由希……どうしたの?」
その返事は返ってこないまま由希はズボンのベルトを閉めて屋上を出ていった。
ポツンと一人屋上に取り残された佳奈は制服を直して由希が寝ていた場所で同じように寝てみた。
由希はここでなにを見て、どんなことを思ってたんだろう?
途中でなにも言わずにいなくなった佳奈の王子様。なんだか女としてちょっと傷つくなーなんて空を見て呟いてみたり。
でも王子様がいなくなった理由は佳奈に原因があるんじゃない。
佳奈が勝てなかっただけ。
由希の中にいるお姫様に。