桃色ブルー
……そうだ!会ってみよう王子様に。
次の休み時間、一人で一年の階に行ってみた。
本当は一人じゃ寂しいから優芽に行こうって言ったら『一年の若さ溢れる空間にいたくない』とおばさんみたいなことを言われてしまった。
若さって……ひとつしか年齢変わらないじゃん。
優芽は大人っていうかおばさんみたい。そんなことを言ったら怒られちゃうから絶対に言えないけど。
「ねー王子様ってどこにいるの?」
廊下にいた男子生徒に聞いたけど首を傾げられた。佳奈の声が大きかったのかクスクスと女子生徒がこっちを見て笑っている。
……むっ!今の一年って性格悪い!佳奈が一年の時はちゃんと先輩を敬ってたのに。
もーいい!一人で探すもん!
1組から6組まで教室を覗いてみたけど王子様らしき人はいなかった。
ってか重大なことに今気づいた。佳奈、王子様の名前知らないや。
名前さえ分かればすぐに見つかるじゃん、と「王子様の名前は?」って聞こうとしたけどまた笑われそうだから一年に聞くのはやめた。