遠距離な二人

「じゃあ、いってくる」

「うん! 頑張って!」

律の家族と一緒に私は新幹線のホームで笑顔で律を見送る。

今日は絶対に泣かない。

少なくとも律の前では絶対に泣かない……

律はドアに片足を入れかけてふと気づいたように私のほうに歩いてきた。

「律?」

「絶対、電話するし、メールもするから」

「え……?」

律は私の唇をさっと奪って電車に乗り込んだ。

律はずるい。

いつもはそっけないし、こういうこと恥ずかしがってしないのに。

私が泣きそうな時とか、さらっとこういうことをする。




ねぇ、律?

その言葉とさっきのキスを、私は信じて待ってていいんだよね?

我慢していた涙がこぼれていた。

< 4 / 8 >

この作品をシェア

pagetop